デジタルコンテンツの制作・発信が日常となった現代。イラストレーター、フォトグラファー、そして自社のIP(知的財産)を抱える企業にとって、最も頭を悩ませるのが「権利の保護」です。
精魂込めて描き上げたイラストが、ある日突然、知らない誰かに「自分のもの」として公開されていたり、悪質なケースでは他社のライバーが自社のキャラクターを完全に模倣(パクリ)して活動していたりする事案も後を絶ちません。
こうした「権利侵害のハードル」を少しでも高くし、クリエイターが安心して創作活動に打ち込める環境を作るためにワンクリックで透かしを入れられるツール「WATERMARK STUDIO」を作りました。
なぜ「透かし(ウォーターマーク)」が必要なのか
「透かしを入れると、せっかくの絵が汚れてしまう」 そう考えるクリエイターの方も多いでしょう。しかし、何も対策をせずに画像をインターネットという大海原に放流することは、鍵をかけずに家を空けることに似ています。
ウォーターマークには、大きく分けて2つの役割があります。
心理的な抑止力:「この画像には権利者が存在する」と明示することで、安易な無断転載や加工を防ぎます。
権利の証明: 万が一、盗用が発覚した際、「これは私が制作したものである」という強力な証拠になります。
過去、弊社でも「公開はしていないものの、他社ライバーが弊社のイラストを完全にパクった状態で活動していた」という深刻な事案がありました。こうした際、制作過程のデータと共に、統一された権利表示があることは、自社を守るための重要な防衛線となります。
WATERMARK STUDIO の主な機能
「WATERMARK STUDIO」は、高度な機能を持ちながら、誰でも直感的に「いい感じ」の透かしを入れられるよう設計されています。
1. 自由自在なカスタマイズ
テキストによる権利表記はもちろん、自社ロゴの追加も可能です。文字の色、大きさ、透明度、そして角度。これらをスライダー一つで調整でき、画像に合わせて最適な配置(単体配置やタイル状の繰り返し配置)が可能です。
2. EXIFデータの自動削除
画像ファイルには、撮影場所や日時、使用機材などの詳細なデータ(EXIF)が含まれていることがあります。多くのSNSではアップロード時にこれらが自動削除されますが、中には残ってしまうプラットフォームも存在します。 本ツールでは、プライバシー保護の観点から、書き出し時にEXIFデータを一括して自動破棄します。
3. デバイスに合わせた最適化
PCでは最大9枚の一括処理とグリッドプレビューに対応し、作業効率を最大化。一方でスマホからは直感的な1枚処理に特化し、生成後は自動でプレビュー位置までスクロールするなど、現場の使い勝手を追求しました。
AI学習という脅威:スペクトラム拡散機能
今、クリエイティブ業界で最も熱く、そして懸念されている議論が「AIによる無断学習」です。
「他者が描いた絵を、本人の許可なくAIが読み込んで学習していいのか?」
SNSの利用規約に同意した以上、そのプラットフォーム上での利用は法的に制限が難しい側面もあります。しかし、クリエイターからすれば「権利は自分にある。勝手に学習の材料にされたくない」と願うのは当然の心理です。
そこで WATERMARK STUDIO が実装したのが、スペクトラム拡散を用いた不可視透かし機能です。
スペクトラム拡散とは何か?
通常のウォーターマークは目に見えますが、本機能は人間の目には認識できない微細なレベルで、画像全体に特定のパターン(電子指紋)を分散して埋め込みます。
画像の美しさを損なわない: 従来の「AI除け」の中には、画像にノイズを被せて見た目を悪くするものもありましたが、本ツールの機能は鑑賞の邪魔をしません。
AI解析への嫌がらせ: スペクトラム拡散によって埋め込まれた信号は、AIが画像を「データ」として読み取ろうとする際の関連付けを乱す効果が期待できます。
事後の検証が可能: 一見何も入っていないように見える画像でも、再度このツールに読み込ませることで、埋め込まれた権利情報を検出し、オリジナルであることを証明できます。
正直に申し上げます。このツールを使えば「100%不正を防げる」というわけではありません。悪意を持って時間をかければ、透かしを消したり、高度なノイズ除去を試みる者もいるでしょう。AIの進化は止まりません。
しかし、「何もしない」のと「対策を施す」のでは、被害に遭う確率も、遭った後の対処のしやすさも天と地ほど違います。
あなたの作品、その価値を守るための「最初の一歩」として、ぜひこのツールを役立ててください。

